4月7日、福島市市民会館で「0から3歳の元気が出る子育て」と題して、白梅学園学長東京大学名誉教授汐見稔幸教授の講演と、山梨県清里キープ森の幼稚園保育者小西貴士さんのスライドショーを行いました。後半のスライドショーは福島でのたけの子を思い出し本当に懐かしく、想いが重なる部分が多かったです。
 前半の汐見先生のお話しは「子どもをなぜ自然の中で育てなければならないのか」という内容だったのでたいへん興味深く、幼児期から学童期に感性を磨くことがいかに大切かを脳のお話しとともにしていただきました。今回のお便りはそのお話しを中心にしたいと思います。
 仮に宇宙のロケットの中で人が生まれたとして、人間としてちゃんと育つだろうかと、汐見先生から最初になげかけられました。ロケットの中は太陽の光もない土もない鳥も動物もいない匂いもない。そんな中でも人はこれから生まれるかもしれません。そこで人は人間になれるのか、と。宇宙飛行士が地球に帰ってきてできなくなっていることがあります。それは、立って歩くことです。筋肉は使わなければ衰えます。では、五感はどうなのでしょう。生の自然の中で育っていないと人間性が育つかどうかが懸念されます。
 人はまず「良い」とか「悪い」とか感じてから論理を考えるのだそうです。わかりやすい例として、議員の方達はよく討論していますが、相手の意見は全く聞き入れずにいろいろ話しても結局最初から結論は決まっていてそこに導こうとしている、ということがありますね。部屋に入ったとたんにいいところだと感じたり、なにか好きになれなかったりという経験は皆さんあるのではないでしょうか。そんな時、理屈ではない何かがあなたをそうさせているのです。では、それは脳のどの部分なのかというと・・・。 前頭葉? 右脳? いいえ違います。なんと、小脳なのだそうです。大脳は140億個の細胞がありますが、小脳はなんと1000億個の細胞があるのだそうです。小脳が記憶していることを、わたし達は「無意識」とか「潜在意識」というのだそうで、『感性』=感じる心は正にここなのです。そしてその『感性』が豊かになるのは0歳から幼児期、学童期だと言われています。
 東大の数学科の学生とアメリカの普通大学の数学科の学生、4年後どちらが優秀になっているかというと、残念なことにアメリカの普通の大学の学生なのだそうです。なぜなのか東大の数学科の教授に聞いてみたところ「感性が育ってないから」との返事。ではどうして感性が育たないのだろうかと聞くと「小さいころに勉強するからだろうね」だそうです。数学とは美学といってもいいくらいの学問なのだそうで、『感性』が非常に大切な学問なのですね。
 『感性』とは「不思議だな」「イヤだな」といった外部とのコミュニケーションの中で格闘しながら獲得していくもの。人間の免疫力も自然の小さな細菌に犯されながら獲得していくものです。無菌状態では決して免疫力はつかないのです。太陽、空気、水、森、小さな葉っぱ・・・。それらにふれることによって小脳が活性化していきます。
 自然の中には「まっすぐ」というものはありません。幼児に石や小枝をまっすぐ並べてごらん、というと美しい曲線を描きます。幼児はその感性によって自然の中にある『美』を感じて表現しているのです。それを「まっすぐ」にするのが今の教育です。世界遺産は何に与えられていると思いますか? どんなものが世界遺産として認定されているでしょうか。それは『美』です。人間は古来より『美』を追求してきました。美しいものを見て、聞いて、触れて自分で感じていかなければ感性は育ちません。
 そして、小脳は喜びや恐れといった《情動》と共に覚えたことは忘れません。自転車に初めて乗れたとき「やったー!」と誰もが心からうれしく思いましたよね。初めて泳げた時も、あやとりが得意だったことも、折り紙も。では、数学の関数は?正確に思い出せますか?それが大脳の記憶との違いです。小脳で記憶したこと、つまり《情動》とともに覚えたことは体で覚える、ともいいますが忘れないのです。

 4月、たけの子の新年度が始まりました。今年度は福島からふたり連れて行き、米沢の在園児と合わせて4人からのスタートです。たきとくんが卒園したもといくんと同じ年齢の三年保育から入園するのも感慨深いものがあります。あの時はたけの子はふたりでした。歩みはのろいですが、少しずつ前へ進んでいるのだなと思います。
 入園式の翌日、「春を見つけに行こう!」とリュックをしょってみんなで外に出ました。結局は雪の中から見えてきた滑り台やブランコに夢中になってしまいましたが、なおくんはいつの間にかブランコのとなりの大きな桜の木にひとりで登っていました。まさに「体が記憶していた」のだと思います。なおくんはもうすぐ家族で兵庫県に引っ越します。会えなくなるのは淋しいけれど、大切な幼児期にたけの子を通して培った感性は彼の将来を明るく照らしてくれると信じ送り出したいと思います。
                                        (辺見)

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2012.04.14 Sat l ●たけの子だより l コメント (0) トラックバック (0) l top

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