11月の末から12月までの二週間、福島からなおくんを乗せて米沢に通いました。一人っ子で子ども同士の関わりになれてないということもあるのでしょうが、その間時々仲間に入れてもらえなくてふくれたりしている場面が見られました。11月29日はとうとう大泣き。本人も辛いし、まわりの子どもやわたし達大人もいい気持ちがしません。運転してくれている間野さんも、「いじめられる子はやがていじめる側にまわる」と心配していました。しかし、子ども同士のけんかに大人がどれだけ口出ししていいのか、わたしには正直わかりませんでした。
 そこで、以前関わっていたCAPの就学前プログラムをやろうと思い立ち、30日のモーニングミーティングの時に子ども達にお話ししました。
 CAPプログラムとはChild=こども、Assault=暴力、Prevention=防止のことで、ひとは誰でも【安心】して、【自信】を持って、【自由】に生きる大切な権利と力を持っているということを、教えこむのではなく、参加体験学習(ワークショップ)の形をとって、参加者がいっしょに考え、意見を述べたりロールプレイ(役割劇)に加わるやり方で進めます。現実の世界では、子ども達はいじめ・誘拐・性的な暴力などにさらされて、この三つの権利や力を奪われてしまうことがあります。CAPとは、これらの暴力に対して「~してはいけません」という禁止教育の方法ではなく、子ども達が本来持っている可能性や力を信じ、引き出し(エンパワメント)気付かせていきます。そして子ども達自身が、あらゆる暴力をはね返し、自分を大切にする心を育む教育プログラムです。
 今回は砂場でのシャベルの取り合いを大切な本を年上のお友達に取られたという設定にし、どうしたら大切な自分の三つの権利を守れるのかを人形をつかって進めました。はじめは取られてしまう場面。その時、取られた子は安心だったか、自信をもっていたか、自由だったか子ども達に聞きました。そうではなかったことがわかりました。では、どうしたらよかったのでしょうか。ゆうまくんは「大きい子のいう通りにすればいい」といいます。他の子はそれを聞いて黙っています。わたしが、
「じゃ、いいこと教えてあげるね。『いや』って言っていいんだよ」
というとみんなの顔がパーっと輝きました。そうです。自分の大切な三つの権利を守るためには「いや」と声に出していいのです。でも、一人で言えない時はどうしたらいいでしょう。そう、お友達や信頼できる大人に助けを求めて「話して」いいのです。たとえ、その人が一緒に言ってくれなくてもいいのです。「いや」という時にそばにいてくれて味方になってくれるだけでどんなに心強いでしょう。
 ということで、今度は成功例。本を取られた子は一緒に行ったお友達のおかげで本を取り戻すことができます。その後ロールプレイではるきくんが一緒に行ってくれました。最後にみんなに困った時は誰に相談するのかを聞きました。信頼できる大人がまわりにいるかどうかを確認するのはとても大切なことです。それぞれ、お母さんや保育者であることを話してくれました。
 導入で、わたし達ひとりひとりには大切な【権利】があることをみんなで話し合いました。寝る権利、食べる権利、遊ぶ権利。安心して自信をもって自由に生きるために、たくさんの方が自主避難という形をとって放射能を避けていることも話しました。
 その後、子ども同士の関わりは相変わらずな感もありますが、なおくんが泣くことはなくなりました。どこまで届いたのかわかりませんが、大切な三つの権利を子ども達なりに理解したのだと思います。
 三つの権利を守るためにできることは「いや」と言うこと「相談(話す)する」ことともうひとつあります。それは「逃げる」ということです。不安に思ったり、自由でないと思える場所に居続けることはないのです。
 今回、CAPプログラムを子ども達とやってみて、わたし自身大切な三つの権利について振り返るいい機会になりました。正に、福島はこの三つの権利が脅かされています。人はこの生きるための大切な権利を守るために「NO!」と言っていいのだし、そこに居続けることはないのだし、信頼できる人に話していいのです。もちろん、それぞれの事情があるので、簡単なことではないと思います。でも、大人がやってみせることで子どもが学んでいきます。勇気を持ちましょう。思いは天に届くとわたしは自分の経験から思います。    (辺見)

関連記事
スポンサーサイト
2011.12.10 Sat l ●たけの子だより l コメント (0) トラックバック (0) l top

コメント

コメントの投稿












トラックバック

トラックバック URL
http://aozoratakenoko.blog28.fc2.com/tb.php/55-d42d0ced
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)