デンマークで1950年代に一人のお母さんが仲間と一緒に始めた森の幼稚園。想いは「子どもたちを豊かな自然の中で育てたい」というシンプルなものだったそうです。やがて取り組みが大きくなり、社会的にも認められるようになると、自治体が動き、お母さんさん達の活動が行政の運営として行われる公立の幼稚園へと形を変えていったのです。こうした国をあげての森の幼稚園に対する評価と必要性を理解した支援が森の幼稚園をデンマーク全土へと普及させ、さらにヨーロッパ諸国への広がりを見せたのです。スウェーデンの「森のムッレ」もちょうどその頃のようです。
 しかし、そこには1800年代から始まる、グルントヴィという人物の農民解放の運動があったのです。
 彼によれば、ブルジョアジーが政権を取ったにせよ、彼らがアカデミックな教育を誇り、優秀な官僚となって、無学な農民たちを支配したところで、事態はいっこうによくなりはしないというのです。国民の大多数を占める民衆(農民)こそが、高いレベルの学問を身につけ、覚醒しないかぎり、『少数の如才ない小りこうな連中』が政権を意のままにし、民主制を形骸化してしまいます。
 農民や手工業者、商人などを含む民衆と、将来の官僚や学者となるべき者がひとつところに住み、互いに知り合い、働きかけあう場所があってはじめて、議会制や民主制は意味を持つのです。いいかえれば、よきデンマークの社会をつくりうるのにふさわしい民衆が育成されなければ、民主制は衆愚政治に陥るというのが彼の長い歴史研究から得た感覚でした。日本の国でももっとこのような考えが広まるといいですよね。彼は「生のための学校」という本を書いていますが、その理念に基づきフォルケホイスコーレ(民衆自由学校という意味でしょうか)を設立します。しかし、当時運営はうまくいきませんでした。その後グルントヴィの意志をついだのがクリスティン・コルです。かれはフォルケホイスコーレの実践に最大の寄与を果たした人物です。
 現在でも、グルントヴィはデンマーク人だったら誰でも知っている偉大でとても親しみのある人物です。そして、フォルケホイスコーレも健在で、かつて農民が学びやすいようにと設定された数ヶ月(農閑期)のものから、普通の幼稚園小中学校そして大学と種々様々です。大人のためのフォルケホイスコーレはどこの国からでも受け入れています。現在デンマークに100校あり、特色は、試験というものを絶対にせず、単位や資格の付与もなく、教師と学生が寮で共同生活をし、書物よりも対話を中心に、生そのものを学び、社会性を自覚するということがあげられます。そのために『自由学校』『生のための学校』と呼ばれています。それを政府が援助している、というのですからさらに驚きです。
 これらのことは清水満著「生のための学校」に書かれているのですが、わたしはそれまで、大学に行くのは社会に出てから役にたつ職業でなければ意味がないと思っていました。親のすねをかじってお金を浪費していると。しかし、グルントヴィが言ったように、民衆にこそ教育は必要なのです。日本の若者が高学歴でありながら、政治に興味がなく、自らの国を良くしようと考えているとは思えないのは、知識一辺倒の詰め込み式教育にあるのではないでしょうか。
 今のデンマークが子ども達を始め真の教育に熱心なのは、民衆の長い歴史があったからです。荒唐無稽(こうとうむけい)な夢のような話しかもしれませんが、わたし達から小さな一歩を踏み出して行きましょう。
 今年、もとい君はスケートの時、リンクを何にも頼らず滑れるようになりました。去年はほとんどイスから降りなかったことを考えるとすごいことです。技術が向上したのでしょうか。もちろん、日々外で遊んできたことで体力は上がったでしょう。でも、それ以上に彼の心に中に生まれた変化は大きかったと思います。
 また、2月のスケートの時、お昼ご飯を食べてから皆でわらべ歌を歌いながらオニゴッコをしていました。するときみちゃんが「わたしもオニやる~」と言って上手にオニの役割をしてくれました。3歳10ヵ月になったきみちゃん。落ち着きがなかった彼女ですが、少しずつ皆とルールを守って遊べるようになってきました。
 他へ行った時や、誰かをお招きすると、子ども達が静と動の使い分けがきちんとでき、「ごめんなさい」が自分達でできることを驚かれほめられます。自慢の子ども達です。子ども達ひとりひとりの成長を見つめていると、記録を取ることでわたし達も様々な発見をします。だから保育はやめられないです。たけの子は今日も「自然の中で五感を磨き共に成長」しています。
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2011.03.03 Thu l ●たけの子だより l コメント (0) トラックバック (0) l top

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