10月5日から12日までの1週間、フォーラム福島において映画「かすかな光へ」が上映されました。この映画は、93歳の教育研究者・大田尭氏の挑戦を描いたドキュメント映画です。
 昨年の秋、仙台にてこの映画が上映されることをわたしが所属する合唱団の音楽監督を通じて知り、観る機会がありました。その時、わたしは今の福島の人達に観てほしいと心底思ったのです。そして、なんとか福島で上映できないかと道を探ってきました。運良く、福島大学院の教授でスクールソーシャルワーカーの鈴木庸裕教授とフォーラム福島の阿部支配人の全面的なバックアップを得ることができ、上映にこぎつけることができました。
以下、上映発起人としてのわたしのあいさつ文です。
「震災以降、この原発事故から噴出してきた一連の出来事の根源はいったい何なのか?親として保育に携わる者として考えてきました。そして、わたしなりにいたった結論は「教育の問題である」ということです。
 今後、同じあやまちをくり返さないためには未来を担う子どもたちが自ら考え、自ら発言し、自ら行動できるようにする責任がわたしたち大人にはあると思うのです。しかし、残念ながら日本の教育は今そうなっているとはわたしには思えません。
 自らも戦地に赴き知識だけではない生活に根ざした教育を受けてきた農家や漁業の家庭に育った同僚達、彼らの生きる智恵を目の当たりにした大田尭先生の教育への研究と実践は、こうして戦後間もなく始まりました。それは若者の話しをじっくり聴くことから始まっていったのです。今の日本からは想像することができませんが、民主主義の教育を目指した歴史がそこにはあったのです。
 映画「かすかな光へ」は戦後日本の教育界の歴史であるとともに、大田先生の今も絶えることのない教育への情熱を追ったドキュメンタリーであり、「基本的人権とは何か」を優しくわかりやすくひも解いてもくれる秀作です。ぜひ、多くの方に観ていただき「かすかな光へ」向って、この福島から共に歩んでいっていただけたらと思います。」

【大田先生がひも解いてくれる基本的人権とは】
◇ひとは「ちがう」
◇ひとは「かかわる」
◇ひとは「かわる」
ということです。
 人は「違っていい」のではなく「違う」のです。だから、生まれてから独立した孤立した存在なのです。しかし、人は「関わって」生きています。他の人と関わらずに生きることなどできません。そして、人は「変わる」ものです。成長していく生き物です。それが、わかれば今の日本で「教育」という名のもとに行なわれている人を化かす「教化」というものがいかに間違っているかがわかります。大田先生は今回の上映に合わせ福島に来られ、2度にわたってわたしたちにお話しをしてくれました。今、世の中に渦巻いている様々な問題(いじめ、子殺し、政治の混乱)は決してわたしたちとは無縁なものではなく、物と金に支配されずに「命」を大切にするために物と金を使う、そういう社会を創造していかなくてはいけない、と力強く話してくれました。
 大田先生がお帰りになる時、車の中で「子どもから遊びを奪うことは子どもの失業なのだ」とお話ししてくれました。わたしたちは大人として子どもの豊かな遊びを保障しなくてはいけない、失業させてはいけないと心に誓いました。
 最後に大田先生が、これからを生きる人たちへということでメッセージを下さったので御紹介します。今月、10月は読書週間ですね。そこで、ぐりとぐらの1年という本の中から10月のところの中川さんのコメントを御紹介してくれました。
「本は子どもの宝物。
おもしろくて、楽しくて、
ワクワクする、ハラハラする。
もういっぺん、もういっぺん。
何べん読んでもたいくつしない。
おまけにとてもかしこくなる」
学びというのは「かしこくなる」ためにするのではなく、おもしろくて、楽しくて、ワクワク、ハラハラすることの先に「おまけ」でかしこくなるものなのだ、と。汐見先生がおっしゃっていた情動と共に記憶し身につく学習と同じだなと思いました。
そうやって、たくさん遊びから学んだ子はきっと思いやりに満ちた豊かな感性をもった大人になるとわたしは思います。
 5日の日、農村文化研究所の理事長の田んぼを稲刈りさせてもらいました。稲刈り、イナゴ取りをした後、女の子たちは野の花の小さな花束を作り、理事長の奥さんに渡していました。「やさしいな」。奥さんの声もやさしく響いていました。   (辺見)
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2012.10.14 Sun l ●たけの子だより l コメント (0) トラックバック (0) l top

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