シュタイナー教育とは何か? 
 わたし自身の疑問にも答えるために、米沢市でシュタイナー幼児教育を実践しているおひさま園を訪ねたのが今年の四月。そこで初めて「アントロポゾフィー」という人間観又は人智学というものに出会いました。保育士の高橋さんがとても丁寧にお話ししてくれたので、ぜひ、このお話しを福島でも、と思って依頼しましたら、精神科医の竹内真弓先生(東京賢治の学校校医)をご紹介いただきました。お忙しい中、七月二九日にオイルマッサージをしてくださるお二人の方と三人で福島にきてくださり、改めて竹内先生のお話しをお聞きし、オイルマッサージを受ける機会を得ることができました。
 アントロポゾフィーでは、人体を四つの構成要素から考えます。
 まず、わたし達が実際に目で見ている『物質体』。
 二つ目は感情や思いを支配する『アストラル体』。
 三つ目は気に関わる『エーテル体』。
 四つ目は『自我(自律)』。
 つまり、わたし達の身体は見えるものだけで成り立っているのではないということです。
放射能はこの四つの身体の構成要素それぞれに影響を与えます。
ですから、単に身体に症状が出るだけでなく(鼻血・下痢・風邪をひきやすく治りにくい・疲れやすい・アレルギーの悪化)、わたし達の感情、気、自我にまで影響を与えるのです。
 しかし、わたし達は自然界の放射能とは上手に付き合ってきたという人類の歴史があります。それは、長い共生の歴史があればこそ。今回の事故のような大量の放射能に対しては対処できないのが当然なのだというお話しを聞いてスーっと胸に落ちた気がしました。
 放射性物質の作用は境界がありません。放射線の影響が確定的影響なのか、それとも、しきい値のない確率的影響なのか、科学者の中でも意見がわかれるところです。アントロポゾフィーでは「境界がない」という立場をとっています。
 そして、不安から「ものを分かれさせ」「自我の力を弱め」ます。
 この話しを聞いて、わたしはものすごく納得しました。今まで、なぜ同じ被災者なのにお互いに対立するのか、また、以前よりも判断力が鈍っているのはなぜなのか理解できませんでした。・・・放射能の影響だったのだと思うとすべてつながります。「放射能はX線と同じで、人間の内面をすべて透かして見せる」という人もいます。そうなのだと、わたしも思います。
 放射能はものをわかれさせるとありますが、お互いに対立する意見を認めないということになります。本来、「英知」とは自分の知らないことがあるということを認めるところから始まります。しかし、放射能の影響は自説を決して曲げず、他者の意見を受け入れず、欺瞞に満ちていくというおぞましさがあります。
 では、わたし達はいったいどうしたらいいのでしょうか。
 それは放射能の影響とは全く逆のこと、つまり、自分で「境界を持ち」「自分が自分の主体者になる」ことだとお話ししてもらいました。
 放射能の影響について、どこまでだったら自分は許せるのか、の境界を持つことだと。それは誰それが言ったからとかではなく、自分が決めることだと。
 だから、わたし達は福島にとどまるのか、とどまらないのか、何を食べるのかなどをすべて自分で決めなくてはなりません。それはある意味とても責任が重いです。正直、誰かが決めてほしいです。でも、たとえ、決められたとしても、きっと反発するのでしょうから、やっぱり自分で決めるしかないのです。
 振り返ってみれば、わたし達もそれを願って子ども達に自然の中での体験をたくさんして欲しいと思いこの保育に取り組んでいます。どんな小さなことでも自分で決められる、たとえ間違っても(人は間違うし失敗するものです)取り組んでみようという意欲を持てる子どもになってほしい、と。
 アントロポゾフィーのアプローチがとても面白いなと思ったのは、「チェルノブイリでは八割の子どもたちに健康の問題がある」と言う時、では、二割の問題のない子がいるのはどうしてだろうと考えるところです。なぜ健康が保たれているのかと。わたし達は確かにパンドラの箱を開けてしまったのだと思います。しかし、様々な災悪の後、最後に「希望」が出てきたように、絶望だけではない、とわたしは思いたいです。
 広島や長崎の医師や看護師がなぜ病気に罹らず長生きしているのか、とその理由を竹内先生がお話ししてくれました。食生活とかいろいろ言われているけれど、それはきっと「自分が倒れたらこの人達はどうなってしまうのだろう」という使命感だろうとおっしゃっていました。これまたなるほど、です。
 人の健康は、その身体と同じで見える部分だけではなく、他の三つの影響がとても大きいのだということなのですね。                       (辺見)

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2012.08.21 Tue l ●たけの子だより l コメント (0) トラックバック (0) l top

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